クルマの行く末

エンジニア秀がクルマ業界動向や技術、スタイリング、マーケティングなどを分析とともに書いていくブログ

2016年07月

まぐまぐニュースに「車1台で年60万の損。タワーマンションで噴出する「空き駐車場」問題」という記事が出ています。

タワーマンションには、付置義務があるためそれなりの台数の駐車場が設置されているそうですが、最近それが埋まらなくて管理組合が困っているという内容です。下記の内容が端的にその理由を物語っています。
駅前にあるタワーマンション等では車が無くても困ることがありません。私の知人も、「コンシェルジュがタクシーの手配もしてくれるので、玄関からさっとタクシーに乗れ、外出先の駐車場の心配もいらないので、もうタクシーばかりになってしまって…。しかも、都心なので、どこに行くのもタクシー代は2,000円ぐらいで、いくら使っても5万円もタクシーに乗れないので、駐車場料金5万円払って車をもっている意味がないし手放したわ~」と。
引用 - MAG2NEWS2016年7月13日
なんかリアルですし、よく考えるとタクシー代ってそんなに使えないというのも分かります。都内のタワーマンションなら住んでる方は低所得では無いと思いますが、ライフステージ的には子育て世代などで収入的にあまり余裕がないという人も多いと思います。

クルマ保有を止める理由

 記事は1顧客のインタビュー事例ですが、マクロ調査でもその傾向が現れています。下記の表は、2013年に自動車工業会が行った全国調査「乗用車市場動向調査」(サンプル数4500)の結果の一部で、「クルマ非保有(持っていたが止めた、ずっと持ってない)の理由」についての調査結果です。表の中で青く塗られているセルが、その理由を答えた人の割合が全国平均よりも5%以上高い多い回答、赤いセルが少ない回答です。
減車理由2

クルマ非保有の理由を収入とライフステージの区別から見ると、収入低位~中位の層と、家族成熟期~結晶期(下記)で「車検費用・税・保険料が負担」というのが多いです。(家族成熟期の定義:最長子が学校を終えて、まだ結婚していない世帯,結晶期の定義:最長子が結婚している世帯)
ライフステージで見ると、子どもが学校・大学を卒業し家族で移動する機会が無くなって、自動車の保有も見直しする人が多いということですね。そこまでは経済的負担が大きくてもクルマは必要だったけど、子どもの卒業と共に不要になった、みたいな。

収入高位(4・5分位)はサンプル数が少なく推定範囲が大きいので分析されていませんが、「ガソリン・駐車場が高い」が40%、61%と高いのが確認できます。
減車理由
また地域で見ると、首都圏では経済的負担と頻度低下の理由が主要因となっています。さきほどのタワーマンションの事例の顧客層が当てはまりそうですね。
 
このように今から3年前の2013年時点で、クルマの保有(所有)を止める理由は経済的と利用機会(頻度)というのが上位であったというのが分かります。

それを考えると、都内のように駐車場で年間60万円もかかるような地域はクルマを持たない人がこの先もどんどん増えそうに思います。クルマを持つには5年間ぐらいの期間で考えると年間150~200万ぐらいの経費・減価償却費がかかります。それに対し、その費用以上の移動価値、所有価値が得られるかどうか。

買い切りの固定費から、クルマの変動費化へ

そう考えるとやっぱりカーシェアリングが首都圏などの人口過密地域ではこの先も需要が伸びる気がしてきますね。マンションの管理組合はタイムズカープラスなどのようなカーシェアリング業者と組んで、駐車場を埋めて稼働率を上げるような取り組みをしていかないと、収益を得られなくなるように思います。
times
そんな背景で、カーシェアリングサービスも順調に業績を伸ばしているようです。(パーク24決算資料より。2015年までは実績)
timescarplus
やっぱりこれから自動車販売ではなく自動車使用で収益を上げる「モビリティサービス」に注目かと思います。


読者の皆さんからの反応は書き続ける励みになります。記事が面白かったら、是非ランキングクリック(下記バナー)や「いいね!」をお願いします!
人気ブログランキング
このエントリーをはてなブックマークに追加

fun

今日は出張で都内に出たので、中学自体の友人と会食(飲み会)してきました。仲良いけど会うのは1年ぶりぐらい。

その友人は千代田区に住んでおり、現在クルマは持っていない。普段もクルマは使わないのだけれど、2ヶ月前にキャンピングカーを1泊2日でレンタルして、近場(=都内)を旅行をしたとのこと。

「なんで、都内をキャンピングカーで?」と聞いてみたら意外な理由(=需要)が。

キャンピングカーは赤ん坊連れの長期旅行に向いているかも

そもそも友人&奥様は、海外で色んなところを旅行したいというニーズが有ったが、最近2人目の子どもが生まれて現実的に考えて海外旅行は難しい(旅行の準備とか、旅行中の防犯とか)。

だったら
  1. 安全な日本国内とゆったりと回りたいよね、と考え
  2. 各地で旅館に泊まるよりキャンピングカーで日本全国を廻るほうが安くて自由だよね。
  3. だったら、まずキャンピングカーってどんなものかと借りてみよう!
とお試し感覚で、1泊2日で借りてみた、とのこと。

良いですねぇ、その議論の方向性と実行力。そして埼玉県狭山市のレンタル業者でキャンピングカー(上記写真の左端、通称キャブコン)を借りて、千代田区で家族をピックアップ。そして、千代田区から行ったところは東京都大田区平和島w。

いやー、聞くと行き先が近くてびっくりですが、ちゃんと彼なりの 戦略がありました。

キャンピングカーの肝は食料調達とお風呂

近場でお風呂(スーパー銭湯)と食事処、いざとなった時のスーパー(業務スーパー)がある比較的フリーな駐車場が調べてみたら平和島だったんだよー、との分析。アクアラインを超えて千葉まで行くと、帰りの渋滞でキャンピングカーを返せなくなるかもしれないリスクが高いとも。確かにその通りです。

E382ADE383A3E383B3E38391E383BC

そんな計画のもと、都内旅行で1泊旅行を実施してみたところ、意外な結果、家族(奥様、3歳女児&4ヶ月女児)からは好評だったそうです。車内でも意外と広くみ寝られて快適だった、とのこと。ただ、レンタカーなので業者からは車内で調理は禁止(臭いが付くから)など注文があったようですが、上記のように外食や中食で食事を済ませて、銭湯や温泉でお風呂に入れればキャンピングカーって自由きままにどこでも寝られますからね。

 いやー、自分も試してみたいです、キャンピングカー。

ヨーロッパでは、子育てが一段落した大人の夫婦の定番的アイテムです。特にクルマ社会のドイツやオランダなのでは。日本でももっと流行って良いと思うんですよね。所有は難しいですが、レンタルとかシェアで。

みなさんも乗ってみたくありませんか?

読者の皆さんからの反応は書き続ける励みになります。記事が面白かったら、是非ランキングクリック(下記バナー)や「いいね!」をお願いします!
人気ブログランキング
このエントリーをはてなブックマークに追加

165528-excellence-child-seat-concept-1+(1)
昨日、ボルボの後ろ向きチャイルドシートの記事を書きましたが、 去年の今頃にボルボは使いやすそうなベビーシートのコンセプトモデルを発表していたの紹介します。(参考:AutoBolg記事 2015年7月7日)

写真のように、助手席の位置に通常の座席を取り払い、後ろ向きのベビーシートを設置するというもの。助手席へのチャイルドシートの設置は日本ではできないですが、ヨーロッパでは3ドアのクーペやハッチバックが多いのと、法規で助手席エアバック・カットオフスイッチが義務づけられているので、助手席への設置が可能です。

165529-excellence-child-seat-concept-1-1
 
子育て世代には分かると思いますが、助手席にベビーシートを設置できると何かと安心です。

まず、赤ちゃんと2人で出かける状況でも、運転席から赤ちゃんの顔が見られるので親も、赤ちゃんも安心できます。後席に後ろ向きでベビーシートを付けると、運転席からは顔すら見られないので、赤ちゃんが泣き出したりすると、気になって大変です。

家族で出かける時も、この配置なら赤ちゃんと親が対面しながら座れるので、軽食を与えたり、泣きそうな時にあやすのも簡単ですね。

このように、この配置は赤ちゃんが居る世帯には大変メリットがあるのですが、やはり問題は赤ちゃんが大きくなって前向きに座るようなった時の座席の取り替えですね。

助手席のシートバック(背もたれ)だけが外れてこのようなベビーシートの取り付けができると良いのですが、難しそうな気がします。それとエアバッグのカットオフスイッチ設置も必須ですね。 

こういうのこそ、いろんな機能を付ける日本メーカーが得意そうですが、どこかのメーカーが実用化しないでしょうか。

読者の皆さんからの反応は書き続ける励みになります。記事が面白かったら、是非ランキングクリック(下記バナー)や「いいね!」をお願いします!
人気ブログランキング
このエントリーをはてなブックマークに追加

pr20160517
5月17日にボルボが後ろ向きの新しいチャイルドシートを発表しました。後ろ向き自体は新しくないですが、後ろ向きを4歳まで推奨しているところが、今までと違います。
「ボルボの新しい後ろ向きチャイルドシートは、お子様には高い快適性を提供し、ご両親にはお子様を長時間後ろ向きに座らせ続けることへの抵抗感を減らします。これはチャイルドセーフティ全般に良い影響を与えると同時に、『2020年までに新しいボルボ車での死者や重傷者をゼロに』という理念「Vision2020」の実現に貢献します。」とロッタ・ヤコブソン博士は説明しています。

今回発売されるチャイルドシートは、さまざまな年齢・体格のお子様に対応した設計になっています。

•新生児用シート :後ろ向き(体重13kg以下、または生後9カ月まで)
•チャイルドシート :後ろ向き(生後9カ月から6歳まで。3~4歳までは使用を推奨)
•ブースターシート :前向き(後ろ向きシートには大きすぎる3~10歳向け)

ボルボは今後も、子どもたちが後ろ向きチャイルドシートに座ることの大切さを強く主張し続けていきます。
これには前段があって、ヨーロッパでは新しいチャイルドシートの法規(ECE R129)が導入されていて、やはり後ろ向きでの着座が、以前の生後「およそ9ヶ月」から15ヶ月に変更されています。また、側面衝突に対する性能向上も織り込まれています。

isize
画像引用:マキシコシ 安全性のページ

後ろ向きを推奨する主な理由は
  • 統計的に前面からの衝突事故のほうが重大障害につながるケースが多い
  • 生後15ヶ月ぐらいまでの子どもは身体のバランス的に頭が重く、前向き着座では衝突時に頭を支えきれない
 というものです。

ボルボは『2020年までに新しいボルボ車での死者や重傷者をゼロに』するためには、15ヶ月・体重13kg以上でも、頸椎の障害を負わないために後ろ向きに座らせた方が良い、という考えなのだと思います。

「後ろ向きは体重9kgまで」という以前の基準で書かれていますが、All Aboutに基本的な考え方が書かれた記事があり、分かりやすかったのでご参考にリンクしておきます。All About チャイルドシート Q&A

安全基準も年を追って改訂されていきますので、家族の安全のためには確認しておきたいですね。
このエントリーをはてなブックマークに追加

IMG_3202

クルマ会社でもクルマ好きの集まりは少ない


土曜日の早朝、MAZDAターンパイク箱根の大観山パーキングで会社仲間によるクルマ好きミーティングを開催しました。私が企画して、会場手配して、社内に案内して開催。もちろん、参加費は実費精算で利益は当然ありません。

なぜ、そのような集まりを自ら企画したか?

それは自動車業界の会社でも、企画しないとなかなかゆるく集まる機会が無いからです。自部署や、ツーリングやサーキットなどコアなメンバーが集まることはあっても、部署を超えてつながることは少ない。普段の仕事では、多くの部署が連携していますが、そこは仕事。なかなかプライベートなクルマの話題にはなりません。

でも自動車業界なんだから、社内にクルマ好きはいっぱいいるでしょ?と思って企画して、人づてで拡散してみたところ、30台弱となかなか楽しめる台数が集まってくれました。

趣味の合う人たちとの話は楽しいっす


「クルマ好き」と謳っている集まりなので、集まったメンバーの話題も合うし、乗ってくるクルマも面白い。VW type1(元祖ビートル)やフェラーリ、ロータス、AE86、FJクルーザーなどなど。様々なクルマも見れるし、「えっ、この人がこんなクルマを!」という驚きもあり、そして趣味の合う人たちとクルマ談義ってやっぱり心地よいです。

でも難しいのは、クルマの楽しみ方って人それぞれというところ。見るのが好き、いじるのが好き、走ってナンボ、など色々あって一括りにできないと思います。

でもいろいろ趣向を変えて集まりを企画すれば、それはそれで違う人たちを集められるかも?次の企画に向けて、いろいろ考えてみたいと思います。

読者の皆さんからの反応は書き続ける励みになります。記事が面白かったら、是非ランキングクリック(下記バナー)や「いいね!」をお願いします!
人気ブログランキング
このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ