まぐまぐニュースに「車1台で年60万の損。タワーマンションで噴出する「空き駐車場」問題」という記事が出ています。
タワーマンションには、付置義務があるためそれなりの台数の駐車場が設置されているそうですが、最近それが埋まらなくて管理組合が困っているという内容です。下記の内容が端的にその理由を物語っています。
駅前にあるタワーマンション等では車が無くても困ることがありません。私の知人も、「コンシェルジュがタクシーの手配もしてくれるので、玄関からさっとタクシーに乗れ、外出先の駐車場の心配もいらないので、もうタクシーばかりになってしまって…。しかも、都心なので、どこに行くのもタクシー代は2,000円ぐらいで、いくら使っても5万円もタクシーに乗れないので、駐車場料金5万円払って車をもっている意味がないし手放したわ~」と。
引用 - MAG2NEWS2016年7月13日
なんかリアルですし、よく考えるとタクシー代ってそんなに使えないというのも分かります。都内のタワーマンションなら住んでる方は低所得では無いと思いますが、ライフステージ的には子育て世代などで収入的にあまり余裕がないという人も多いと思います。
クルマ保有を止める理由
記事は1顧客のインタビュー事例ですが、マクロ調査でもその傾向が現れています。下記の表は、2013年に自動車工業会が行った全国調査「乗用車市場動向調査」(サンプル数4500)の結果の一部で、「クルマ非保有(持っていたが止めた、ずっと持ってない)の理由」についての調査結果です。表の中で青く塗られているセルが、その理由を答えた人の割合が全国平均よりも5%以上高い多い回答、赤いセルが少ない回答です。クルマ非保有の理由を収入とライフステージの区別から見ると、収入低位~中位の層と、家族成熟期~結晶期(下記)で「車検費用・税・保険料が負担」というのが多いです。(家族成熟期の定義:最長子が学校を終えて、まだ結婚していない世帯,結晶期の定義:最長子が結婚している世帯)
ライフステージで見ると、子どもが学校・大学を卒業し家族で移動する機会が無くなって、自動車の保有も見直しする人が多いということですね。そこまでは経済的負担が大きくてもクルマは必要だったけど、子どもの卒業と共に不要になった、みたいな。
収入高位(4・5分位)はサンプル数が少なく推定範囲が大きいので分析されていませんが、「ガソリン・駐車場が高い」が40%、61%と高いのが確認できます。
また地域で見ると、首都圏では経済的負担と頻度低下の理由が主要因となっています。さきほどのタワーマンションの事例の顧客層が当てはまりそうですね。
このように今から3年前の2013年時点で、クルマの保有(所有)を止める理由は経済的と利用機会(頻度)というのが上位であったというのが分かります。
それを考えると、都内のように駐車場で年間60万円もかかるような地域はクルマを持たない人がこの先もどんどん増えそうに思います。クルマを持つには5年間ぐらいの期間で考えると年間150~200万ぐらいの経費・減価償却費がかかります。それに対し、その費用以上の移動価値、所有価値が得られるかどうか。
そんな背景で、カーシェアリングサービスも順調に業績を伸ばしているようです。(パーク24決算資料より。2015年までは実績)
やっぱりこれから自動車販売ではなく自動車使用で収益を上げる「モビリティサービス」に注目かと思います。
このように今から3年前の2013年時点で、クルマの保有(所有)を止める理由は経済的と利用機会(頻度)というのが上位であったというのが分かります。
それを考えると、都内のように駐車場で年間60万円もかかるような地域はクルマを持たない人がこの先もどんどん増えそうに思います。クルマを持つには5年間ぐらいの期間で考えると年間150~200万ぐらいの経費・減価償却費がかかります。それに対し、その費用以上の移動価値、所有価値が得られるかどうか。
買い切りの固定費から、クルマの変動費化へ
そう考えるとやっぱりカーシェアリングが首都圏などの人口過密地域ではこの先も需要が伸びる気がしてきますね。マンションの管理組合はタイムズカープラスなどのようなカーシェアリング業者と組んで、駐車場を埋めて稼働率を上げるような取り組みをしていかないと、収益を得られなくなるように思います。そんな背景で、カーシェアリングサービスも順調に業績を伸ばしているようです。(パーク24決算資料より。2015年までは実績)
やっぱりこれから自動車販売ではなく自動車使用で収益を上げる「モビリティサービス」に注目かと思います。
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