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ここ10年ぐらい、自動車雑誌のカーグラフィックをほぼ欠かさず買ってます。購入できなかったのは、欧州在住中に取り寄せられなかった2~3刊ぐらい。

なので、内容にはほぼ満足して購読しています。

ですが、今月号(2016年11月)の記事に気になる表現があったので記しておきます。

悪い点を「個体差」表現で済ます

BMW 7シリーズのPHEV、740e iPerfomanceの欧州試乗記事より
2L直4ターボのみで走行している時のエンジンフィールは、7シリーズのキャラクターにちょっとそぐわないものだったことを付け加えておきたい。というのはエンジン走行時の音と振動が、わずかではあるがフロアから伝わってきたから。(中略)個体差であればいいが、この点は日本に導入された時に改めてチェックしてみたい。
同じく、メルセデスベンツの新型Eクラス・ステーションワゴンの欧州試乗記事より
(リヤシートについて)懸念される背後からのロードノイズや着在位置がアクスルに近いことによる突き上げ感などはほとんど看取されないし、スペースも十分に寛げるものだったが、シートバックに伝わってくる細かな振動が妙に気になった。(中略)タイヤ・ホイールのバランス取りをさらに精密に施せば軽減されるのか、それとも単純な生産初期の個体差か。理由が分からなかっただけに、日本仕様の到着を待ちたい。
どちらも言えることは、
・性能の悪さを「車両の個体差か」と表現してごまかしている
・後日の日本仕様で良ければ、改善されたかのように読者に勘違いさせる表現
と言うこと。

メーカーの出荷基準が全て

メーカーとしてみれば、メディアの試乗車であれ、量産出荷車であれ、性能目標値は全く同じであり、工場からの出荷基準も全く同じ。

ましてやメーカーが新車開発の全霊をかけて臨んでいるメディア試乗会に、出荷基準を下回るクルマを提供するなどあり得ないこと。

「個体差で、試乗した1車だけが性能が悪い」のであれば、そのメーカーの品質管理基準が甘いか、単なるチェックミスで出してしまったクルマなら、そのまま「悪い」と評価されても仕方ない。

メディアが「悪さは個体差」でごまかすなら、「性能の良さも個体差」と言えてしまう。つまり、自動車雑誌の記事の頼りなさを、自ら露呈していることに他ならない。

自動車雑誌とメーカー広報との関係性

自動車雑誌と自動車メーカー広報は綿密な関係があり、記者発表も試乗車も広告も全てメーカー側に主導権があり、雑誌はさらに記事の内容までメーカー側に事前チェックされます。

だからと言って、メーカー側の製品開発の実力不足やミスを「個体差」でごまかすのは、メーカーとメディアの馴れ合いや癒着と言われても仕方ないし、メディアの価値を自ら毀損するようなものです。

悪いものは悪いと毅然と書くべきだと、私は思います。


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