クルマの行く末

エンジニア秀がクルマ業界動向や技術、スタイリング、マーケティングなどを分析とともに書いていくブログ

タグ:スバル

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皆さん、危険なクルマには当然乗りたくないと思われるでしょうが、でも逆に安全なクルマって何と聞かれても答えるのは難しいのではないでしょうか。

自分が新車を購入する時にいつも気にしている項目を3つ挙げておきますので、参考にされてはどうでしょうか。

1つめ:予防安全装備がついている

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画像引用:スバル アイサイト技術紹介ページ
まあ、これは最近各社とも採用している緊急自動ブレーキなどの装備のことで、多く宣伝されているので、皆さん知っていることでしょう。代表的なものでは、スバルのアイサイト、トヨタのToyota Safety Senseという技術です。

でも、色んなクルマを同じ基準で比較するのはカタログベースでは難しいので、国土交通省がまとめている「予防安全性能アセスメント」を見るのが参考になるかと思います。各社の性能が、同じ基準で一覧表示されているので、比較しやすいかと思います。

国土交通省 自動車アセスメントのページ http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/yobou_h27/index.html
平成27年度版 予防安全性能アセスメント PDF版(2016年3月発行)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/yobou_h27/data/pamphlet_yobou_h27.pdf

ちなみにスバルは、アイサイト搭載車は非搭載車に比べ、事故割合が全体で61%、追突事故は84%減ったと公式発表しています。それぐらい大きな効果があるんですねー。

スバル公式リリース(2016年1月26日) アイサイト搭載車の事故件数調査結果について 

2つめ:北米・ヨーロッパ向け輸出仕様がある

2つめは、北米やヨーロッパ向けの輸出仕様が、そのクルマにあることです。

なぜか?

それは、日本には存在しない衝突安全性能が北米やヨーロッパには存在し、輸出しているクルマは当然その基準に適合しているからです。逆に言えば、日本国内でだけしか売られていないクルマは、たいてい日本国内の基準だけにしか適合していません。

そして悲しいことに、日本は衝突安全基準という面では出遅れているというか、常に後追いです。

例えば、北米で2012年に始まったスモールオーバーラップ試験(下記の図参照)。何がスモールかというと、正面衝突では無く、ぶつかる対象とクルマがずれたオフセット衝突において、ぶつかるバリアが従来の40%に比べ、スモール(25%)ということです。これは深刻な自動車事故の衝突モードを再現したものです。
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するとどうなるかと言うと、40%のバリアにぶつかるように設計していたボディー骨格が、25%のバリアになってしまうと空振りしてしまって、全然衝撃吸収ができないという状態になりました。2012年にこの試験が始まると、高級車、普及車問わず「Poor」という最低ランクの評価が続出しました。

2016年の現在では、多くのクルマが対策されて「Good」評価になっています。下記は2015年式トヨタRAV4(北米仕様)の試験動画。2013年式は「Poor」評価でしたが、改良により2015年式は「Good」評価です。クルマとしての総合評価も最高ランクの「Top Safety Pick+」となっています。
そして、以前取り上げた横転時に自車がつぶれない為のルーフ強度という試験もあります。

さらに北米では今度「オブリーク衝突」(高速斜め衝突:下記の図参照)という衝突試験が2019年に導入されるということで、自動車業界は次なる基準に向けて大騒動です。90km/hという高速でぶつけることで、また新しい車両構造を採用しなければいけません。2018年頃からまたクルマのボディーが変わってくるでしょう。
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ヨーロッパではポール側突というモードがあります。スピンやスリップしたクルマの側面に電柱やガードレールがぶつかるモードで、クルマを模擬したバリアと違って、ぶつかる幅が狭いのでクルマの変形(ダメージ)が大きくなるのが特徴です。

下記はスバル・レヴォーグの試験動画。1:39ぐらいからポール側突の動画になります。ちなみにレヴォーグは2016年の基準で、クルマとして最高ランクの5つ星(★★★★★)評価を受けています。
このように、北米とヨーロッパの衝突安全基準は色々日本とは違っている(厳しくなっている)というのが実情です。

3つめ:新しいプラットフォームであること

上記に挙げた北米スモールオーバーラップ試験の自動車業界への影響は大きく、衝突安全性能を引き上げるため、世界の自動車メーカー各社はプラットフォーム(車体構造の土台)をここ数年で新しくしてきています。

古いプラットフォームを応急処置してとりあえず性能を確保しても、クルマが重くなってしまい燃費性能に悪影響がでてしまいます。そうならない為には、クルマの構造を骨格から見直す=プラットフォームを新しくするという必要が出てきたためです。

日本国内だけで売っているクルマには、古いプラットフォームでいつまでも作っているゾンビの様な商品も有りますが、それらは新しい世界レベルの衝突安全基準には対応していません。

まとめ

このように自分なりの3つの条件を挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。

ちなみに一つ加えて言っておきたいのですが、これらに適合しないクルマは危険だと言っているわけではありません。最高レベルの安全性能を見極めるには、欲しい車の安全性能を確認するにはこういう見方があるよ、というように捉えて頂きたいと思います。

皆さんの参考になれば嬉しいですね。


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テスラの”自動運転”の事故に関連したニュースが飛び交っていますが、テスラに限らず現在世の中に出ている”自動運転”ではなく”運転支援機能”と言うべき物で、その点を正しく書いている記事が一般紙の記事にほぼ無いことが気になります。

自動運転の定義については、こちらの国土交通省の資料にあるように、レベル1からレベル4まで定義されており、ドライバーではなく制御システムが事故の責任を負うのはレベル4。現在、市販されている自動車に搭載されている物は全てレベル1か、レベル2です。

「自動運転」というバズワードがニュースに絶えず出てきますが、単語からの想像とは違って、現在の機能はかなり限定的な「自動運転」であることに注意が必要です。

さて、テスラのニュースで注目された「自動運転の事故」ですが、実際はどうなのでしょうか?

自動運転(レベル1,2)における事故の発生確率についてですが、テスラ自身が「2億km走行で初」と言っているように、自動走行に用いるレーダー・センサー類や、画像認識デバイスを用いた自動緊急ブレーキ(AEB:Automatic Emerency Braking) は、他社においても人間より優秀なことが明らかになっています。

例えばスバルの代表的な予防安全技術と言えるアイサイトですが、2016年1月26日のニュースリリースによると、アイサイト付きのクルマは付いていないクルマと比べ、事故全体では件数が61%少なくなり、追突事故に限ると84%もの件数が低減されたと報告されています。
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(画像:スバル ニュースリリースより)

事業用車両(バス、トラック)でも2014年度よりAEB導入が一部義務付けされるなど普及が進んでおり、そちらでも追突事故が1/3に減少していると国土交通省 中部運輸局が公表しています。

またUSA、ヨーロッパにおいても、AEBを装備している乗用車において追突事故が38%(欧州)、39%(USA)低減したことが、公的な機関から報告されています。(出典:ヨーロッパ・Euro-NCAP、USA:IIHS

このように自動運転に関係する技術は、人間の運転動作を補完するという意味では既に大きな効果をあげています。

テスラのような事故が起きる時点で発展途上な技術であることは明白ですが、ミクロな視点で無くマクロな視点でその技術を見ることが必要だと思います。

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