クルマの行く末

エンジニア秀がクルマ業界動向や技術、スタイリング、マーケティングなどを分析とともに書いていくブログ

タグ:交通事故

ペダル踏み間違い事故を起こさないために

過去記事にてペダル踏み間違い事故を取り上げ、「高齢者だけでなく自分たちも起こすかもしれない」と分析しましたが、自分たちが予防するにはどうすべきか、について書きたいと思います。
過去記事:
トヨタの安全支援技術がペダル踏み間違い事故を70%抑制
やはりペダル踏み間違いは年齢と共に増加する。

停車時のペダル踏み間違いは何故起こる?

2016年11月に立川市の災害医療センター駐車場で起きた事故の記事をいくつか読みましたが、そこに書かれていたことをまとめると
  • 駐車場出口の自動精算機のバーを突き破って20m暴走
  • 運転者は「ブレーキを踏んだが止まらなかった」と言っているがブレーキ痕は無し
  • 運転席の窓が開いており、床に100円玉が数個落ちていた
ということでした。

ここから推測できることは、
  1. 運転者はフットブレーキを踏んだ状態で、自動精算機の前に停車
  2. 窓から自動精算機に硬貨を入れようとしたが、車内に落とした。
  3. 硬貨を拾おうとして体をねじった際にブレーキペダルから足が離れた
  4. クルマが動き出したので慌ててペダルを踏み直したが(アクセルを踏んでしまい)暴走した
という事ではないかということです。念のため書いておきますが、上記は私の推測であり、そういう事実や供述は報道されていません。

ですが、自分の経験からも、この様なケースは容易に起こりうると思います。そこで必要になるのは、このような事故を起こさないためには何をすべきか、です。

1.体をねじる姿勢を運転席でしない。

自分の会社では、危険予知トレーニングとして交通事故の事例を良く見るのですが、追突事故のケースであるのが
  • 信号待ちで、足下に落ちた荷物を拾う際に、ブレーキが緩んだ。
  • 渋滞中、後席の子どもが泣いて、対応している時にブレーキ緩んだ。
というような事例です。信号待ち+落ちた荷物のケースは、私の父親も家の近所で追突事故を起こしたことがあります。

自動精算機で事故を起こしたケースは社内では見たことがありませんが、落ちた荷物、後席の子ども、自動精算機のケースの全てに共通するのは、「運転姿勢から体をねじって、運転以外の何かをしている」ということです。
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画像引用:マツダ アクセラ商品解説ページ
上記はマツダ・アクセラの運転席の写真ですが、 運転者の腰の位置と、ペダルの配置を良く見てみましょう。

アクセル・ブレーキペダルはシートに深く座った状態で正しく操作できる位置にあります。そして運転する前に皆さんシート位置(=腰の位置)を運転しやすい位置に調整するかと思います。

その状態から、窓の外や後席に手を伸ばすために、上半身や腰をひねったらどうなるでしょう。間違いなく、操作しやすい場所から足の位置がずれますよね。そして、そのひねった姿勢では足下とは全く違うところを見ているので、ペダル位置なんて正しく把握できません。

体をひねった姿勢でブレーキペダルから足が離れしまった際に、再度正しくブレーキペダルを踏めるか、練習したことある人がいるでしょうか。自分は、全くしたことはないです。

つまり言いたいことの一つ目は「運転席でペダル操作しながら、体をねじる作業をしてはいけない」ということです。 

2.運転以外の操作では必ず駐車ブレーキとPポジションに

自分の経験上、マニュアルトランスミッション(MT)のクルマでは、ペダル踏み間違い「事故」はまず起こりません。なぜ「事故」を強調したかというと、ペダルの踏み間違いは結構起こります。

でも、事故になりません。なぜ?

それはMT車であれば、停車時に必ずギアをニュートラルにして、駐車ブレーキを引くから。その状態ならいくらアクセル踏んでも、エンジンはグォーンと激しく回りますがクルマは1mmも進みません。

そう、単純にそういうことなんです。

オートマ車であろうと、停車して運転席で体の向きを変える作業する時は必ず、セレクターレバーをPかNポジションにして、駐車ブレーキを引く。簡単なことです。

自動精算機は短時間の作業だからいいや、と思っていませんか?
精算時、車内や車外に硬貨や駐車券を落としてヒヤッとしたこと、ありませんか?
それが、アクセルの踏み間違いにつながり、暴走して事故につながるかもと考えたら、どうでしょうか。

運転者の資質管理や、誤発進防止装置を望む前に

というように、停車時のペダル踏み間違い事故を防ぐためにすべきことは簡単なことで、言ってみれば教習所で習うような事です。
  • 運転する時は正しく前を向いて座り、ペダル、ハンドルに手足が届く状態に調整する
    =ペダル操作している時は、体をひねるような作業をしない。
  • 停車する際は、駐車ブレーキをかけて、セレクターレバーはPレンジに入れる。
    =ちょっとの作業であろうと、クルマが勝手に動かない状態に必ずする。
このような細かい心がけで大きな事故を防ぐことができます。

運転者の資質管理や、クルマの誤発進防止機能を望む前に、まずはドライバーとして安全な運転習慣を身につけて、実践していきましょう。
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ニュースによると、2020年以降、ヘッドランプの自動点灯機能が義務化されるそうです。

国土交通省が自動車メーカーに対し、日没時などに車のヘッドライトが自動で点灯する「オートライト機能」の搭載を義務付けることが23日、わかった。平成32年度以降に発売する新型車から適用する。
義務化は、高齢化が進む中、薄暮時に歩行者が巻き込まれる事故などを減らすのが主な狙い。同省の交通政策を検討する有識者会議が6月に方針をまとめ、意見募集(パブリックコメント)を行った。同省は、道路運送車両法に基づく車の保安基準を来月改正する方針だ。
記事引用:産経ニュース 2016/9/23 

JAFの2014年の調査によると、暗くなる日没時点でヘッドランプを付けている人の割合は22.8%。日没から10分経ってようやく半分以上の72.7%がヘッドランプ点灯するようになってます。

JAF2014年調査 日の入り時のヘッドライト点灯率は僅か22.8%(こちらより下記画像引用)

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なぜ早めのヘッドランプ点灯が必要か

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それは日没時間帯の死亡事故が多いから。

日没前後の時間帯は夕暮れ空を創造してもらえば分かるように、暗くなったと言っても空はまだちょっと明るい状態。でも、地面というか路面は、太陽が落ちて真っ暗になっています。

つまり人間の目が空の明るさに慣れているために、路面がよく見えない状態です。

事実、日没の時間帯に死亡事故が多いことがデータで分かっています。下記の表は同じくJAFのホームページからですが、2011年からの3年間の交通死亡事故について、月別と発生時刻別に事故件数をまとめたもの。

赤い部分が一番事故が多い時間帯を示していますが、冬は17時、夏は19時ぐらいと日没時間と相関していることが分かります。

JAF Safety Light ヘッドライトの使い方 交通安全情報サイト(こちらより下記画像引用)

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視界の確保は安全の要

最初のニュースで書いた自動点灯機能の義務化は、2020年以降に発売されるフルモデルチェンジや新型車から適用されます。(マイナーチェンジは、国交省に届け出する車両型式の変更が伴わないので対象になりません。)

日本国内はだいたい8年ぐらいの保有期間で買い替えがされているので、2030年ぐらいにはほぼ自動点灯に切り替わっていると思いますが、今から14年後に普及する状況でドライバーの高齢化に間に合うのでしょうか?

と言うわけで、まずは自ら「早めのヘッドランプ点灯」で安全運転をすることが必要かと思います。

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読売新聞が、警察庁の交通死亡事故についての要因分析結果を報道しています
ハイビーム使用を…横断死亡96%が「下向き」
歩行者が夜間に道路を横断中、車にはねられた昨年1年間の全国の死亡事故625件のうち、96%の車のライトがロービームだったことが警察庁の調査でわかった。
同庁はハイビームを使っていれば防げた事故もあるとみており、21日から始まる秋の全国交通安全運動の重点項目としてハイビーム使用を呼びかける。

ロービームはあくまで「すれ違い時」の限定使用

道路交通法上は、ロービームは「すれ違いビーム」、ハイビームは「走行用ビーム」と定義され、「基本的にハイビームで走行しなさい」となっていますが、皆さん町中はロービームで走ることが多いのではないでしょうか。

前走車や対向車がいて安全上の問題があればロービームを使用すべきですが、それ以外はハイビームで走るのが本来の姿。

冒頭の画像はJAFの比較走行テストの結果ですが、ロービームの80km/h走行時では障害物の発見が遅れ、ギリギリ手前でしか止まれません。テストと認識しながら走っての結果がこれですから、通話や音楽等に気を取られていたらもっと低速でも止まれないでしょうね。

JAFホームページ:夜間走行時はハイビームが基本
~「ロービームの限界を知る」テスト結果をホームページで公開~

できるだけハイビームで走行しましょう

 「歩行者がいたらハイビームじゃまぶしい」と思ってしまいますが、「まぶしい」と文句を言われるのと、歩行者を発見できず危険な状況になってしまうのと、どちらが良いかという次元の話し。

 皆さんもハイビームで歩行者の安全を優先して走行しましょう。そして反対に夜間、歩行者や自転車として通行する際は、反射材を身につける等の安全策を忘れずに。
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