クルマの行く末

エンジニア秀がクルマ業界動向や技術、スタイリング、マーケティングなどを分析とともに書いていくブログ

タグ:衝突安全

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ボルボの安全性

Facebookタイムラインで、出てきたボルボの安全性についての解説。
【もっとも厳しい衝突テスト】
スモールオフセット衝突テストは、立ち木や電柱などとの衝突を想定し運転席側の25%だけをぶつけるテストで、世界でもっとも厳しいとされる衝突テストのひとつ。
米国IIHS(道路安全保険協会)では、2013年からこのテストを実施していますが、ボルボでは事故調査隊によるデータからそのリスクを調査・検証しており、850の世代からスモールオフセット衝突を想定した設計をしてきました。
その結果、テスト開始以来、北米で販売しているすべてのモデルで最高評価となる「トップセーフティピック+」を獲得。ボルボの比類なき安全性の高さが実証されました。
引用: Volvo Car Japan / ボルボ・カー・ジャパン Facebook タイムライン
このボルボが言っていることは、実はとても凄いんですよ。

2013年から始まったスモールオフセット衝突の試験ですが、始まった当初、他のメーカーは軒並み4段階中、最低のPoorか2つめのMarginal評価でした。これって言ってみれば、大学受験でいきなり予告されていない科目の試験が本番であったようなもの。ある意味、準備してなければ良い結果がでなくて当然ですよね。

ですが、ボルボはスウェーデン警察と昔から行っている事故現場調査で、このようなスモールオフセットの事故が多いことに気付いており、その対応をもう25年前からやっていた、ということです。(引用の中のボルボ850というモデルは1991年発表)

いかにボルボが実世界での安全性を重視しているかがよく分かります。

フィヨルド地形は事故が多かった

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以前、ボルボのあるスウェーデンの隣国、ノルウェーを旅行した際にガイドさんに聞いたのですが、ノルウェーでは深刻な交通事故が多かったとのこと。

その理由は
  • 国全体がフィヨルドで、起伏が激しく、道が細くて曲がりくねっている
  • フィヨルドで陸地が分断されているため、フェリーで対岸へ移動することが多い(通勤でも)
  • フェリーは遅れると乗れないので、通勤時間帯はスピード違反が多い
ということ。(現在は、徐々に橋やトンネルが整備されてきて昔より減っているそうです)

確かにフィヨルドの地形は、日本の三陸海岸か伊豆半島みたいに入り組んでいて、山からすぐ海になっています。なので、海岸沿いの道はクネクネした細い山道みたいな道路ばかりです。

そんな山道を「フェリーに間に合わない!乗れないと1時間遅刻だ!」ってな感じで、多くの人がかっ飛ばしていれば、深刻な衝突事故が起きますよね。

ノルウェーとスウェーデンは隣国で、大小の違いはあってもフィヨルドだらけの地形も同じ。深刻な事故が多いという必要に迫られて、ボルボの安全性は築き上げられてきたのだと思います。

ちなみにボルボはひっくり返っても、トナカイにぶつかっても大丈夫

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そんな感じなので、ボルボは谷に落っこちてもクルマがつぶれないようにできています。ごろごろ、ひっくり返っても大丈夫。実際に、ごろごろひっくり返す評価はUSAでは実施されています。(上記はその映像写真)

自動車の技術カンファレンスで聞いた話しでは、トナカイ(体重200~300kg!)にぶつかってもクルマは大丈夫だそうです。やはり北欧の国。トナカイとの衝突とか有るんですね。。。

以上、ボルボの安全性について知っていることを書いてみました。

衝突安全については、過去にも書いていますので、良かったら読んでみてください。
安全なクルマが欲しい時に気にすること3つ
テスラのSUV Model Xは、実は構造的に凄い


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皆さん、危険なクルマには当然乗りたくないと思われるでしょうが、でも逆に安全なクルマって何と聞かれても答えるのは難しいのではないでしょうか。

自分が新車を購入する時にいつも気にしている項目を3つ挙げておきますので、参考にされてはどうでしょうか。

1つめ:予防安全装備がついている

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画像引用:スバル アイサイト技術紹介ページ
まあ、これは最近各社とも採用している緊急自動ブレーキなどの装備のことで、多く宣伝されているので、皆さん知っていることでしょう。代表的なものでは、スバルのアイサイト、トヨタのToyota Safety Senseという技術です。

でも、色んなクルマを同じ基準で比較するのはカタログベースでは難しいので、国土交通省がまとめている「予防安全性能アセスメント」を見るのが参考になるかと思います。各社の性能が、同じ基準で一覧表示されているので、比較しやすいかと思います。

国土交通省 自動車アセスメントのページ http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/yobou_h27/index.html
平成27年度版 予防安全性能アセスメント PDF版(2016年3月発行)
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02assessment/yobou_h27/data/pamphlet_yobou_h27.pdf

ちなみにスバルは、アイサイト搭載車は非搭載車に比べ、事故割合が全体で61%、追突事故は84%減ったと公式発表しています。それぐらい大きな効果があるんですねー。

スバル公式リリース(2016年1月26日) アイサイト搭載車の事故件数調査結果について 

2つめ:北米・ヨーロッパ向け輸出仕様がある

2つめは、北米やヨーロッパ向けの輸出仕様が、そのクルマにあることです。

なぜか?

それは、日本には存在しない衝突安全性能が北米やヨーロッパには存在し、輸出しているクルマは当然その基準に適合しているからです。逆に言えば、日本国内でだけしか売られていないクルマは、たいてい日本国内の基準だけにしか適合していません。

そして悲しいことに、日本は衝突安全基準という面では出遅れているというか、常に後追いです。

例えば、北米で2012年に始まったスモールオーバーラップ試験(下記の図参照)。何がスモールかというと、正面衝突では無く、ぶつかる対象とクルマがずれたオフセット衝突において、ぶつかるバリアが従来の40%に比べ、スモール(25%)ということです。これは深刻な自動車事故の衝突モードを再現したものです。
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するとどうなるかと言うと、40%のバリアにぶつかるように設計していたボディー骨格が、25%のバリアになってしまうと空振りしてしまって、全然衝撃吸収ができないという状態になりました。2012年にこの試験が始まると、高級車、普及車問わず「Poor」という最低ランクの評価が続出しました。

2016年の現在では、多くのクルマが対策されて「Good」評価になっています。下記は2015年式トヨタRAV4(北米仕様)の試験動画。2013年式は「Poor」評価でしたが、改良により2015年式は「Good」評価です。クルマとしての総合評価も最高ランクの「Top Safety Pick+」となっています。
そして、以前取り上げた横転時に自車がつぶれない為のルーフ強度という試験もあります。

さらに北米では今度「オブリーク衝突」(高速斜め衝突:下記の図参照)という衝突試験が2019年に導入されるということで、自動車業界は次なる基準に向けて大騒動です。90km/hという高速でぶつけることで、また新しい車両構造を採用しなければいけません。2018年頃からまたクルマのボディーが変わってくるでしょう。
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ヨーロッパではポール側突というモードがあります。スピンやスリップしたクルマの側面に電柱やガードレールがぶつかるモードで、クルマを模擬したバリアと違って、ぶつかる幅が狭いのでクルマの変形(ダメージ)が大きくなるのが特徴です。

下記はスバル・レヴォーグの試験動画。1:39ぐらいからポール側突の動画になります。ちなみにレヴォーグは2016年の基準で、クルマとして最高ランクの5つ星(★★★★★)評価を受けています。
このように、北米とヨーロッパの衝突安全基準は色々日本とは違っている(厳しくなっている)というのが実情です。

3つめ:新しいプラットフォームであること

上記に挙げた北米スモールオーバーラップ試験の自動車業界への影響は大きく、衝突安全性能を引き上げるため、世界の自動車メーカー各社はプラットフォーム(車体構造の土台)をここ数年で新しくしてきています。

古いプラットフォームを応急処置してとりあえず性能を確保しても、クルマが重くなってしまい燃費性能に悪影響がでてしまいます。そうならない為には、クルマの構造を骨格から見直す=プラットフォームを新しくするという必要が出てきたためです。

日本国内だけで売っているクルマには、古いプラットフォームでいつまでも作っているゾンビの様な商品も有りますが、それらは新しい世界レベルの衝突安全基準には対応していません。

まとめ

このように自分なりの3つの条件を挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。

ちなみに一つ加えて言っておきたいのですが、これらに適合しないクルマは危険だと言っているわけではありません。最高レベルの安全性能を見極めるには、欲しい車の安全性能を確認するにはこういう見方があるよ、というように捉えて頂きたいと思います。

皆さんの参考になれば嬉しいですね。


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何かと話題の電気自動車メーカーTeslaが、日本国内でもSUVタイプのModel Xを発売しました。価格は税込み895万円から。お値段は高いですが最高時速は250 km/hで、3.1秒で時速100 kmまで加速するハイパフォーマンスが売りです。

一番の特徴は上の写真のようにリヤドアが上に開くファルコンドア。一般にはガルウィングドアのほうが通じるでしょうか。

それと下の写真のような「現在生産されている自動車で最も大きな全面ガラス製パノラミック ウインドシールド」、つまりフロントウィンドウです。
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これらのガルウィングドアとフロントウィンドウですが、顧客目線で見るととても良いのですが、エンジニア目線で見ると「アメリカで良くこれを出したなー。すごいなー」と思います。

なぜなら、アメリカには他の国に無い安全性能試験があって、それがとても厳しいからです。横転(ロールオーバー)した際にクルマが自重でつぶれてしまわない様に、ルーフ強度試験というのがありそれが最低レベルで自重の2.5倍以上(Marginal:余裕有り評価。Good評価には4倍)必要だからです。

評価動画はこんな感じで、ルーフの斜め上から押しつぶすような形で力を加えていきます。
通常のクルマには、このような荷重が加わる部分にはボディーの骨格が通っていて、その荷重を分散して強度を確保しています。下の写真はボルボのSUV、XC90のボディー骨格です。赤い部分はとても強度の高い材料を使っていて、ボルボは最高レベルの安全性能を確保しています。
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ですが、Tesla Model Xは上記のガルウィンドア、パノラマフロントウィンドウで、その部分の骨格が無いのです。(上記の骨格写真だと、フロントウィンドウの上、リヤドアの上に相当する骨格が無い)

さらに、通常のクルマは乗員スペースとは違うところに一番重いエンジンが載っていますが、Model Xは乗員スペースの下に一番重いバッテリーが載ってます。つまりクルマがひっくり返るとバッテリーが乗員スペースの上に来て、ボディーに載っかってくるわけです。

そんな構造的な悪条件にも関わらず、Teslaは下記のように述べてます(ホームページより)
米道路交通安全局(NHTSA)によるModel Xの衝突試験はまだ行われていませんが、テスラが行った社内試験の結果によると、Model XはSUVとして初めてすべてのカテゴリーで最高評価を獲得することになるでしょう。
うーん、どうやって安全性能を確保しているのか。謎です。

自動車業界や雑誌の分解調査レポートを待ちたいですねー。
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